用語説明:細胞周期とチェックポイント


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細胞内の遺伝情報の本体であるDNAが放射線や紫外線の照射によって傷つけられる(DNA傷害)ことにより、細胞は細胞周期の停止を起こすことが知られ ています。細胞周期の停止機構にはいろいろありますが、上記のDNA傷害による細胞周期の停止機構は、チェックポイント機構と呼ばれています。このチェッ クポイント機構が存在するのは、細胞が分裂する際に、傷害の入っていないDNAを、すなわち正確な遺伝情報を、娘細胞に分配するためであると考えられてい ます。細胞は、チェックポイント機構により細胞周期を停止し、その間にDNA傷害を修復し不正な遺伝情報蓄積による癌化を未然に防いでいます。チェックポ イントは、細胞周期のG1期とS期の間(G1/Sチェックポイント)、G2期とM期の間(G2/Mチェックポイント)にあることが知られています。 G1/Sチェックポイントは、DNAの複製段階であるS期に入る前に存在し、DNAに入った傷害を完全に修復することを目的としています。この修復が起ら なければ、不正な遺伝情報が複製されてしまいます。一方、G2/Mチェックポイントは、S期に複製されたDNA上の傷害の最終的な修復や、正確な染色体分 配のための準備の完了を確認することを目的とします。これにより、M期で娘細胞に正確に同一の遺伝情報を分配することができ、細胞は正常に分裂を完了しま す。

例えて言うなればチェックポイント機構は、会議書類の準備に似ています。ひとりの人間(個体)を「会社」、人間の細胞一つ一つが「社員」の一人一人、そ の遺伝情報すなわちDNAが会議の「書類」です。ある社員が、会議書類を作成し、それをコピーすることを考えてください。コピー前に作成した原稿に汚れや 誤字脱字がないか確認します(G1/Sチェックポイント)。もし、不備があれば修正しなくてはいけません。コピーした後にも、原稿とコピーされたものにず れがないか、落丁や乱丁がないかを確認して(G2/Mチェックポイント)、はじめて正確な情報をもった会議書類を参加者に配ることが出来ます(M期の進 行、細胞分裂の完了)。原稿に誤字脱字や間違った情報が混ざっている場合はもちろん、コピーしたものが読みにくかったりしても正確な情報は伝えられず、結 果として、会議では誤った判断がなされてしまう可能性は高くなります(細胞の癌化)。会議で誤った決定がなされれば、会社の危機的状況(個体の死)に結び つくことにもなりかねません。
 チェックポイント機構は、生体を形作る最小単位である個々の細胞が、その遺伝情報を正確に娘細胞に伝えていくために具えている、防御機構の一つであると いえます。

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