CycLex 脱アセチル化酵素活性測定キット

ヒストン脱アセチル化酵素は、クラスT、II、Vの3つのファミリーに分類されています。クラスVに属するSir/SIRTファミリーは、クラスTやUとは異なり、トリコスタチンAに非感受性であり、酵素の活性化にはNAD(Nicotinamide-adenine Dinucleotide)を必要とします。SIRT1の活性を制御する薬剤は、種々の疾患治療薬として期待されています。


測定原理図





CY-1151 CycLex SIRT1/Sir2 Deacetylase Fluorometric Assay Kit

SIRT1はNAD存在下でアセチル化蛍光基質ペプチドのリジン残基上のアセチル基を除去します。脱アセチル化された蛍光基質は、リジルエンドペプチダーゼにより切断されます。切断による蛍光強度が増加し、それを計測することによりSIRT1の活性を測定できます。


放射性同位体を使用せず、完全なホモジーニアス系であり、簡便、安定、再現性にも優れ、大規模なドラッグスクリーニングにも最適なキットです。また、免疫沈降などにより内在性SIRT1の酵素活性を測定することもできます。

☆トピックス☆

ポリフェノール類によるSIRT1/Sir2活性促進作用発見!実はアーティファクトな測定結果か!?

2003年BioMol社のHowitzらは、同社のSIRT1/Sir2脱アセチル化酵素活性測定キットを用いて、ポリフェノール類がSIRT1/Sir2脱アセチル化酵素の活性を上昇させることを報告しました(1)。この報告はポリフェノール類の健康増進作用を説明し、SIRT1/Sir2の活性化による寿命延長の可能性を示唆したものとして大いに注目を集めました。しかし、2005年になり、2つのグループから、Howitzらの報告は測定に使用されたBioMol社製キットのアセチル化基質の構造に起因するアーティファクトではないか、との報告が相次いなされ(2、3)、ポリフェノール類がSIRT1/Sir2脱アセチル化酵素の活性上昇作用を持つという知見は大変疑わしいものとなっています。

ポリフェノール類などを用いてSir/SIRTファミリーの酵素活性を測定する際には、使用する測定系がこのようなアーティファクトな結果を生じないものであるかが重要なポイントとなります。

ポリフェノール類の影響

ポリフェノール類がCycLex SIRT1/Sir2 Deacetylase Fluorometric Assay Kitに与える影響を検討しました。その結果、ポリフェノールであるResveratrolおよびQuercetinの添加によっては、Howitzらの報告のようにはSIRT1の酵素活性の上昇は認められず、反対を濃度依存的にSIRT1の酵素活性を抑制する作用が認められました。

Howitzらが使用したBioMol社製キットとは異なり、ポリフェノール類によるアーティファクトな影響を受けなかった理由として、弊社「CY-1151 CycLex SIRT1/Sir2 Deacetylase Fluorometric Assay Kit」で使用しているアセチル化ペプチド蛍光基質は、1)アーティファクトの原因と考えられているクマリン系の蛍光物質を使用していないこと、2)アセチル化リジンをペプチドの中央部に配置している、という2つの特徴によるものと考えられます。

以上より、弊社「CY-1151 CycLex SIRT1/Sir2 Deacetylase Fluorometric Assay Kit」は、ポリフェノール類によるアーティファクトな影響を受けず、SIRT1の活性化物質や阻害物質のスクリーニングに適した活性測定系であると思われます。

測定例1

SIRT1/Sir2阻害剤として報告されている低分子化合物Sirtinol (4)の濃度依存的なSIRT1酵素活性の阻害作用が確認できました。


測定例2

全細胞抽出液をAnti-SIRT1抗血清で免疫沈降することにより、内在性SIRT1の酵素活性を検出することが可能です。

関連製品; CY-P1016 CycLex Anti-SIRT1Antibody


☆トピックス2☆

測定原理に関する弊社国際特許、米国でも成立!

弊社、株式会社サイクレックスは、世界に先駆けて、ペプチダーゼによるペプチドの分解活性がリジン残基のアセチル化によって変化することを利用し脱アセチル化酵素/アセチル化酵素活性を測定できることを見出し、2000年11月に国際特許出願しております(5)

このたび、2004年9月のヨーロッパにおける本特許の成立に引き続き(6)、米国においても本年2006年2月に本特許の成立が承認されました(7)。現在国内においても販売されている他社製脱アセチル化酵素活性測定系の多くが弊社国際特許を使用、侵害していると考えられます。今後、法的措置を含め、対処を進めて参ります。また、特許使用許諾を希望するメーカーには使用許諾を与えていく方針でもあります。現在、世界的試薬メーカーグループには当該国際特許の世界的非独占的使用権を許諾しています。

参考文献等

(1) Howitz, K. T. et al.: Nature, 425: 191-196, 2003

(2) Kaeberlein, M. et al.: J. Biol. Chem., 280:17038-17045, 2005

(3) Borra, M. T. et al.: J. Biol. Chem., 280: 17187-17195,2005

(4) Christina, M. et al.: J. Biol. Chem., 276: 38837-38843, 2001

(5) 国際特許出願番号 PTC/JP2000/008417

(6) ヨーロッパ特許番号 EP 1243658

(7) 米国特許番号 US 7033778


CY-1153 CycLex SIRT3 Deacetylase Fluorometric Assay Kit

測定原理

SIRT1/Sir2Deacetylase Fluorometric Assay Kitと同様の原理で、SIRT3の酵素活性を測定するキットです。 放射性同位体を使用せず、完全なホモジーニアス系であり、簡便、安定、再現性にも優れ、SIRT3の阻害物質および活性化物質のスクリーニングにも使用できます。アセチル化蛍光基質にはSIRT3に最適化されたペプチド配列を使用しています。

測定例


ポリフェノール類であるResveratrolおよびQuercetinの添加により、SIRT3酵素活性は濃度依存的に抑制されることが測定されました。

CycLex SIRT1/Sir2 Deacetylase Fluorometric Assay Kitと同様に、「CY-1153 CycLex SIRT3 Deacetylase Fluorometric Assay Kit」についてもポリフェノール類によるアーティファクトな影響を受けない測定系であると考えられます。

CycLex HDAC 活性測定キットシリーズ

クラスTヒストン脱アセチル化酵素群HDACsは、癌抑制遺伝子産物Rbなどと結合し転写抑制を担っている。細胞内では、ヒストンは低アセチル化レベルにあり、HDACsの作用は広範かつ強力であると考えられます。その阻害剤は癌などの治療に有効であることが報告されています。


CY-1150 CycLex HDACs Deacetylase Fluorometric Assay Kit

測定原理

HDACによりアセチル化蛍光基質ペプチドのリジン残基上のアセチル基が除去され、リジルドエンドペプチダーゼ(LEP)を用いて脱アセチル化基質から蛍光物質を切断することで蛍光強度が増加します。この蛍光を検出することでHDACの活性を測定できます。放射能やHPLCを用いた従来法に比べ、操作は簡便で、高感度であり、安定性、再現性も優れています。大規模なドラッグスクリーニングにも最適なキットです。

測定例



HDAC阻害剤であるトリコスタチンAの添加により濃度依存的に細胞抽出HDACs画分の脱アセチル化酵素活性の抑制作用が測定されました。


CY-1158 CycLex HDAC8 Deacetylase Fluorometric Assay Kit

測定原理

HDACs Deacetylase Fluorometric Assay Kitと同様の原理で、recombinant HDAC8の酵素活性を測定するキットです。

放射性同位体を使用せず、完全なホモジーニアス系であり、簡便、安定、再現性にも優れ、HDAC8特異的な阻害物質のスクリーニングにも使用できます。

測定例

HDAC阻害剤であるトリコスタチンAの添加により濃度依存的にHDAC8酵素活性の抑制作用が測定されました。